Answer Left 06 ギガベース撃破 その3
彼がシャウトアウトに乗り込んでハッチを閉めて、ようやく艦内に緊急放送が流れ始める。
「敵ネクストのギガベース襲撃を確認!全防衛戦力は出撃体制に入れ!」
狭い機体内に両手を伸ばし、手のひらを左右の操作盤に当てる。
「認証完了。
メインシステム起動。
アップデートを確認中...」
光を編んで浮かび上がるBFFのロゴマーク。いつもと変わらない"オペレーター"の音声に、彼の覚えた苛立ちが声に出た。
「緊急非汚染起動!」
「緊急非汚染起動了解。
機体構成確認。
ジェネレータ起動、異常なし。
EN装填開始。5秒後に装填完了。
PA展開フェーズスキップ。
FCS連結完了。
兵装確認。
メインカメラ起動完了、異常なし。
各ブースト起動、異常なし。
システム、戦闘態勢に移行します。
−−AMS、接続。」
機械と交錯した脳から、ぬるりとしたものが首筋に、そして全身に流れる。
鉄色の血が骨髄から体に巡り、この瞬間、リンクスとネクストは一つになる。
シャウトアウトの複眼に、薄い土色の光が灯された。
汚れた大地にも似たその色は、遠距離からの目視による発見を妨げる工夫である。
光の余韻を宿す間もなく、その四足の鉄塊は金属製の床を蹴り、大きく開いた昇降口の天井から青黒い海に飛び込んだ。
底の見えない海原にホバリングした機体から見えたのは、艦はるか後方、
煤けた水平線に火の手を上げるギガベースの姿だった。
「ギガベース、通信途絶。」
気付くのが遅かった。いや、気付いたところで…と、彼は悔やむ。
確かにギガベースも第八艦隊も長距離砲を有し、その戦力は時にネクストを退ける。しかし上方の敵機に対しては…。
「仰角限界か…。」
彼はBFFにおいては優秀なリンクスだったが、そのAMS適正は特別高いというわけではなかった。
どちらかと言えばその豊富な実戦経験が、レイヴン時代から変わらない戦闘スタイルを支えている。
高高度奇襲には、何度も辛酸を舐めさせられてきたものだ。仰角限界という機体スペックの壁は、
個人の努力で越えられるものではない。唯一の対処法は、敵降下地点からできる限り距離をあけること。
しかし図体の大きなアームズフォートではそうもいかなかったわけだ。
彼の口元に皮肉めいた笑みが浮かぶ。任務の失敗とは相反したその感情は、彼が立つ海の色と全く同じものだった。
txt by uoi
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