Answer Left 07 ギガベース撃破 その4




「任務完了。レンチ、ご帰還ください!」

低く張る声が操縦席に響いた。ギガベース大破を確認したニコラの通信だ。
受けるレンチは緩やかに沈みゆくギガベースにLATONAの華奢な足で立ち、再現なく沸き上がる煙に確かな至福を感じていた。
ふと思い出すように、レンチは切っていたマイクのスイッチを入れ直す。

「『ユニオンは補給艦隊の撃破にボーナスを設定している』…そうだったな、ニコラ?」

「その通りです、サー!」

補給艦隊の撃破は隊全体の長期航行を妨げる。それは必ずしもギガベース牽引に限った話ではなく、 例えばもし今第八艦隊が燃料の補給を絶たれれば、任務は失敗に終わっているにもかかわらず、 北西洋からすぐに旧大英帝国領海に帰還することは不可能だ。まず函館や横浜など旧日本の主要港で補給を受け、 改めて西欧へ進路を向けなければならない。 この間ドーバー海峡から第八艦隊が失せる−−同じく西欧に構えるインテリオルとしては、 低リスクの割には魅力的な副目標だったのだ。

「よし、今からその補給艦隊を…。」

既に彼の視界は、最も近くの艦に赤い二重円を重ねている。アカツキに搭載された旧アクアビット製FCS・INBLUE。 ロック速度最速のFCSは腕部グレネードの砲口を補給艦に向けさせた。
軍艦一隻を個人が沈める−−いい時代になったものだ。科学の進歩にも自分のAMS適正とやらにも礼を言わなくちゃな。 そう思いながら、レンチは自分が人の命を握る状況に愉楽を耐えられない。

「ヒヒヒ。ハハハ。」

そうして彼はじりじりと引き金を引いていった。まるで指の動きそのものを楽しみ、引ききることを惜しむかのように。

−−−−

その瞬間、彼の顔から笑みが引く。よりによってあれは「赤い嵐」アカツキ!ギガベースだけでは飽き足らず、 第八艦隊をも手に掛けようというのか。
正直なところ、シンにとってギガベース乗組員の命など大した問題ではない。だがBFF船舶となれば話は別だ。 しかも今、奴の射程内には後輩達が配備されている艦もある。そのうち一隻が、アカツキの放火を浴びて火柱をあげたのだ。

「こちらF2!敵ネクストから攻撃を受けた!繰り返す、こちらF2!」

焦燥が通信に伝播する。今の艦はF2か。いや、どれがどの艦かなど関係ない。このままでは間違いなく全滅だ。

「こちらネクスト・シャウトアウト!今から救援に−−」

彼が回線を開いた、まさにその時。

「任務失敗。シャウトアウト、帰還してくださイ。」

txt by uoi

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