Answer Left 11 ギガベース撃破 その8




「隠れたか…どうやら粗製じゃないらしいな。」

シンの呟きはコックピットに反響するばかりでなく、遠い北欧の二人も耳にしている。 彼らの声がシンに届くことはないが…。

「そう、狙撃兵と相対するならまず遮蔽物を探せ。」

「はい、王大人。」

基本中の基本ではあるが、リリウムは素直にうなずいてみせる。

「それから接近するにはこうして、見ろ、遮蔽物伝いに移動するんだ。隙を見せるな。」

「はい、王大人。」

大画面のモニターの中で、アカツキは第八艦隊の陰を縫うようにQBで移動する。 シンの視界に姿を見せるのはほんの一瞬で、チカチカと赤い光が浅黒い海に現れては消える。
時折、第八艦隊の陰から真っ赤な頭部や背部レーダーが伺えることもある。 そしてシンの実力であれば狙うこともできたろう。しかしシンは頑なに撃たなかった。 当てること自体は容易いが、乱れたアカツキのPAが味方船舶−−の、乗組員に与える影響を考えれば、 引き金にかかる指から力が抜けていく。戦艦用KP分解素子も、あの至近距離では役に立つまい。
いつまでも続きはしない。第八艦隊とてそう多くはないのだから。今は機を待てばいい…。

黙したシャウトアウトに、王小龍は愚痴にも似た呟きを漏らしていたが、それはシンの預かり知らぬ所である。


第八艦隊の端。ついにアカツキは、シャウトアウトにもっとも近い補給艦の陰にその身を移した。 距離にして700、遠距離戦を得意とするシンには近すぎるが、まだアカツキの射程には届かない。
それにしても。

「なぜ動かない…。」

王小龍が不審がる。基本的にシャウトアウトのベース機である047ANは適正戦闘距離を1100以遠として設計されており、 リンクスたるシンがそれを知らないはずがない。彼を動かさないのは絶対の自信か、あるいは…。

艦の陰にいるアカツキを、シャウトアウトは既に熱源探知によって捕捉している。 あとは飛び出す一瞬を待つことに全神経を集中させるのみである。

シンは、引き金に触れる自分の指が細かく震えているのに気がついた。 しかし今は目を逸らすことも指を落ち着かせてやることもできない。 いつの間にか乾ききっていた喉に無理やり唾液を流し込み、狙撃手は息を殺して獲物を待った。

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