Answer Left 12 ギガベース撃破 その9
束の間の静寂を破ったのは一糸の閃光と爆音−−しかしそれはQBよりもずっと生々しい、人を焼く音だった。
その爆発と共に補給艦は突如として火の手をあげ、シンの目の前で真っ二つに割れた。
守るべきものがまた一つ、指の間をすり抜けて落ちてゆく。
「ふざけやがって…。」
無線のスイッチは切られていたが、偶然にも両者の言葉は重なった。
一人は残忍な相手への憎しみを込めて、一人は気にくわない相手の蹂躙を目指して。
さてシャウトアウトの眼は完全にアカツキを見失ってしまった。グレネードの大型弾頭は補給艦の腹を割き、
その燃料に食いついた。艦に湧きあがる巨大な炎は熱源探知を完全に妨げ、
揺らめく赤色は意外にもアカツキの保護色としてはたらいたのだ。
ネクストに比べればそう大きくはない戦艦だが、このほんの一瞬−−勝敗を分かつ一瞬を彩るには充分だった。
炎が海風に揺らされるわずかな隙間から、音より早く飛び出した赤い嵐。その刹那、二機の射線が交差する。
−−−−
同時刻。彼は立っていた。急ピースシティエリア、自らが葬り、巨大な鉄塊になり果てたAFの上に、
同じく鋼鉄の二本足で。
「こちらラナ。ネクスト・ミラージュ、対象AFを排除。作戦終了。」
立ち上る黒煙から突き出す、6本の大口径砲。射程30000以上を誇る主砲もVOBを用いた強襲には抗えず、
ただただその老朽化を露呈する結果に終わった。もっとも、たとえ十余年分の錆が彼に味方したとしても、
この結果を見て彼の実力を疑う者はないだろう。
BFF社製AF、スピリット・オブ・マザーウィル。AFの中では古参にして、
時代の原動力の片翼を担ってきたAFであった。それが今、彼の足下で長い長い眠りについたのだ。
「マザーウィルの撃破を確認。ミッション完了だ。」
オペレーターの声はどこか安堵の色が混じる。おそらく彼女自身のリンクスとしての経験が、
マザーウィルの脅威をよりリアルに感じさせていたのだろう。
「何とか一端の傭兵になってきたな、お前も。」
本当は、口で言うよりもずっと早い成長だった。彼−−ラナが初めてネクストに乗ってから一月も経っていない。
この短期間で彼は恐るべき兵士へと変貌を遂げていた。
txt by uoi
←back "NEXT"→
index