Answer Left 14 ギガベース撃破 その11




再び水柱を立てて発射された第4射は、先程よりもずっと短い時間で、今度は正面から赤い嵐を射抜いた。 ましてや今、グレネードの爆発でアカツキのPAは消えている。 文字通りの直撃はLATONAのコアに大きく食い込んだ。その着弾の轟音はシンのコックピットにすら届いた。

「第4射、インパクト。」

返通信がない。嗚咽や絶叫さえも。衝撃の余り息絶えたか。

そういうリンクスやレイヴンもいないではない。特に軽量機はコアごとパイロットが押し潰されることもある。

そうあってくれればいいが…。

崩れ落ちたアカツキは、身の丈ほどの大きな波を立てて着水した。
オートブーストにより水没は免れているものの、ただ自動制御的に浮かぶばかりでもはや動き出す気配はない。 歪んだコアのせいで機体は左に大きく傾いている。カウンターを受けた右腕部兵装に至っては原型を失い、 右腕部も肘から先を黒々と焦がしていた。
敵機大破、普通で考えれば文句なしの勝利。しかしシンはその討ち取ったはずの獲物が、 どこかまだ熱を残しているのを見逃さなかった。戦場の兵士にのみ与えられる第6感に、 研ぎ澄まされた殺意が鋭く突き刺さっている。奴の右腕を焦がしたのは自分が撃ち抜いたグレネードではない。 奴の殺意がその真紅の右腕に上塗りされたのだ。

戦場の殺意は恐ろしい。シンはまるで自分の方が追い詰められた小動物のように微動だにせず、 指をかけっぱなしの引き金は汗に濡れた。その両目は瞬きもせずに赤い嵐をとらえて放さない。 まるで猟師が仕留めた"はずの"猛獣の様子を窺うように、シンもまたその狂戦士を睨んでいた。 再装填が済み次第、第5射を−−。

「シン、応答しろ。王小龍だ。」

緊張を抜き、不躾に響く低い声。突然のことに思わず両の手が硬直する。

「王大人…!」

予想はしていた。シンは撤退命令を無視してここにいる。呼び戻すような連絡が入るのは当然だ。 しかしまさか王大人直々とは…。
さらに続く王小龍のセリフは、より一層彼の不意を突いた。

「これは命令だ、撤退しろ。マザーウィルが墜ちた。万が一にも、ここでお前を失うわけにはいかん。」

txt by uoi

back  "NEXT"


index