Answer Left 15 ギガベース撃破 その12
「マザーウィルが…。」
誰だ。オッツダルヴァか、ウィン・Dか。我がBFFの主力AFを落としたのは誰だ、
我がBFFがGAに対抗しうる唯一のカードを破ったのは誰だ。
「シン、急ぎ撤退しろ。マザーウィルに加えてお前までもを失えば、BFFに再建の機会は訪れまい。」
「しかし、第八艦隊は。」
「案ずるな。既に相手方とは話をつけてある。」
話−−?シンは頭越しの和平に僅かな不審を覚えた。
「しかしお言葉ですが王大人、自分はもう奴を始末する寸前です。今撤退など。」
「馬鹿者。」
不意に、老獪の声に失意が混じった。
「スコープの視野は狭い。しかしだからこそ我々狙撃手は視野を広く持たねばならぬ−−上を見ろ。」
そう言われて、シンはギガベースの大破以来初めて空を仰いだ。
いや、正確には空など見えはしなかった。彼の視界全体を覆う、"空飛ぶ円盤"。
レンチを送り出したAFイクリプスが、いつの間にか降下してきていたのである。
奇怪な円盤の腹は暗雲よりも暗く、その先端から射出されるレーザーは稲妻よりも激しくネクストを灼くだろう。
「お前のレーダー範囲外ギリギリで上空を周回していたのだ。
オペレーター・アシストは警告を発するはずだがな。このままではレンチは葬れても、
次に的になるのはお前の方だ。」
その通りだ。シンとてAFを落とすほど、実力はさておいて総火力が足りていない。
それこそアカツキのような高火力機体でなければ、超大型の戦闘要塞を押し切ることは難しい。
新たな通信回線が開いたことを示すランプが点灯し、はっとシンは目線を戻した。
「シン様。こちらインテリオル・ユニオン、オペレーターのニコラ・マウロスクと申します。」
聞き覚えのある声だった。
「現刻を以て当AF部隊はギガベース撃破作戦を終了し撤退します。
BFF第八艦隊補給艦も、以降有効な目標ではありません。」
シンは言葉を返さず、聞き続けた。その間も引き金からは指を離さずに。
「現在ネクスト・アカツキとは通信が途絶していますが、状況から戦闘の継続は不可能と判断します。」
もはやシンに選択の余地はなかった。
「もし貴機の撤退を受け入れていただけない場合、当AFは−−」
「もういい。第八艦隊に危害を加えないというなら、俺もここにいる理由はない。」
吐き捨てると同時にシンはようやく指の力を緩め、暗号回線を開いた。
「王大人、連中は信頼できるのですね?」
私は信頼しませんが−−とまでは言わない。
「案ずるな。いくら奴らでも、今我々と戦争する気はないだろう。プロフェッショナルの間にはルールがある。」
「…わかりました。ネクスト・シャウトアウト、帰還します。」
txt by uoi
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