Answer Left 16 ギガベース撃破 その13




蹴りこまれたサイドブースターが、踵を返すように四脚の前後を入れ替える。 機首はコールドナイツに向けられた。

「オペレーター・アシスト再起動。戦闘終了。格納準備。」

再起動したオペレーター・アシストが、続く音声命令に応える。

「BFF OAシステム起動。
戦闘終了命令を確認。
_warning_戦闘区域内に敵性機体2機を確認。(AF1,NX1,AC0,MT0)
戦闘を終了しますか?」

久しぶりに聞く機械音声はどこか不機嫌だ。

「繰り返す。戦闘終了。」

「戦闘終了。システム、通常体勢に移行します。
FCS兵装点検開始。
点検終了まであと 20 秒...
ジェネレータ・KP出力中止。
PA解放まであと 6 秒...」

母艦コールドナイツに足を下ろすその時まで、シンはあの毒々しい殺意を忘れられずにいた。 歪んだコアからどす黒い海に染み出した、人間の最も忌むべき感情。 その跡は確かに、シートに預けた背にかいた滝のような汗という形で、彼の中に残っている。
どうやら「赤い嵐」の恐ろしさは火力でも機動力でもないらしい。激情、それも人類全体に対する恨みのような、 見境のない攻撃性。奴の中にある刺々しく存在するあの"熱"、それこそがあの「赤い嵐」の本質。
師はマウロスクか。なるほど、確かにあの男の核を引き継いでいる。
−−充分に警戒しなければならない。実力で勝るとはいえ、この手合いは寝首をかくことを厭わない。 声はまだ若かったな。マウロスクは没しているから、今も師があるとしたらウィン・Dか、 あるいはスミカあたりか。どちらにせよ油断はできない。若い種子はいつだって経験によって芽を吹く。 できることならあの場で始末してしまいたかったが…。

考えても仕方あるまい。ネクストを降り、空母甲板に立ったシンは、煙草を灯すと大きく吸い込んだ。 空は薄汚いまま、じっとりと雲が渦を巻いている。どろりと立ちこめた暗雲は、 もうじき灰色の雨を降らせるだろう。

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