1章-3




 ここはどこだろうか。少し薄暗い。辺りを見回してみると、その理由が分かった。ここは森の中なのだ。生い茂った木々の葉が日光を遮り、それが全体に影を与えている。
 それにしても、何故こんなところに居るのだろうか。思い出そうとするが、どうも上手くいかない。そう、誰かの事を追っていたような気がする…。だが、そこまでだ。誰だったのかも、何故追ったのかも思い出せない。
 そうこうしていると、森の奥の方で白い、小さな人影が動いた。一体、誰だろうか。無意識のうちに足は動いていた。影の動いた方へ駆けていく。
 走っていると、途中から異変を感じるようになった。何か、変な匂いがする。今まで嗅いだ事の無いような、それでいて比較的身近にありそうな匂い。嫌な予感は確かにあった。だが、その予感も好奇心に勝る事は無かった。

 これまた無意識に足が止まった。森の中の少しひらけた所、その真ん中に人が一人佇んでいた。向こうを向いているので顔は見えない。服は…スーツだろうか、おそらく紺の。だが、足が止まったのは人が居たからでは無かった。その人の足元に2つ何かがあったのだ。それは暗さで見にくかったけれど、見極める前から何か予感はしていた。だからこそ足が止まったのだ、余りの恐怖と驚愕で。
 それは死体だった。勿論、人の。さっきからしていた異臭の原因も分かった。血だ。恐らくは死因の一つではないのか。二つの死体は多量の血に塗れていた。ふと気が付いて、死体の顔を見てみる。と同時に、驚きと困惑を感じる事となった。
 “この人たちは    だ!”
 頭の中に何かがよぎった。この二人の顔…、どこかで見た事がある。いや、何かもっと深い関係だったような…。だが、何処で?必死に考えてみるが、さっきの様に何かがよぎる事は無く、謎は深まるばかりだった。
 不意に後ろから肩を抑えられる。我に返り、動こうとするが出来ない。そして、さっきの人の方へ視線を送った時だった。 向こうを向いていた人がこちらの方へ振り向き…




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