“闇”…それはあらゆる場所にいかなる時にも存在している。それは普段表に出ないだけで…確かに存在している。多くの“闇”は影より生まれ、影の中を居場所とする。そう、だから本来であれば、表の社会にとって“闇”は無縁の存在でしかない。だが、時として表の世界を侵略しようとする“闇”が生まれる事がある。影の世界では飽き足らず、表の光をも飲み込もうとする強大な“闇”が。
こうして“闇”が影の世界より這い出してきた時、世界は日常というものの儚さを味わう事になる。影の世界に比べれば、表の世界はぬるま湯のようなもの。そのぬるま湯に慣れきった社会は“闇”の侵略に対して…あまりにも無力だ。先日までの日常は脆くも崩れ去り、世界は混沌へと突き進むだろう。混沌こそが世界の有るべき姿であったかのように…。
とある場所…、薄暗い影に支配された空間に二つの眼が不気味に光るこの場所で、強大な“闇”が表へと湧きだす時を待ちかまえていた。長く、長く抑え込まれていた反動からか、“闇”は他の何よりも黒く、邪悪なオーラで空間を埋め尽くしていた。今、この“闇”が解き放たれたとしても世界を喰らい尽くすには十分かもしれない。
「だが、まだだ…。」
二つの眼は、いや正確には二つの眼の持ち主は、そう呟いた。
そう、我が野望を満たすにはまだ時が必要だ。アレの行方を知らねばならない。今更、アレを何者かが手に入れた所でどうする事も出来まいとは思うが…念のためだ。障害に阻まれるのは、一度で十分だ。
「くくく…。いや、杞憂だなぁ!そう、目の前に立ちはだかる者は蹴散らせば良い。私は王だからな。くっ、ははははっ!」
影の空間に響き渡る笑い声…、すこし自嘲気味に感じられたのは気のせいだったろうか…。
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