2章-2




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 康哉に打ち明け、解決への道を発見してから一か月が経った。
 最初は森の所在くらい簡単に分かるだろうと気楽に考えていた一登だったが、その甘い自信は最初の一週間で脆くも崩れ去った。そもそも森を調べると言っても、森など風景は大体が似たようなものであるし、かといって一登に木の種類などを判断できるだけのスキルは無い。結局はどうすれば良いのかも分からずに、ただ付近の森へ行って確認する事ぐらいしか出来なかった。
 今日も朝早くに起きたものの、何をするでもなく寝転がったまま昼になってしまった。
 「どうすれば良いんだ…。」
 時間の経過とともに逸る気持ちは増し、何も考えずに何か行動を起こしたい、そんな衝動に駆られる事が多くなりつつあった。だが、そんな時こそ冷静に考えなければいけない。そう思った俺は、ふと康哉はこういう時どうするかを考えてみた。たぶんアイツなら…。
 「こういう時は原点に立ち返って考えるべきだな。」
 そう、夢について検討を行うんだ。細部まで振り返り、何か見落としている事は無いか、忘れている事は無いかを確認する。その事で、何か進展のきっかけが掴めるかもしれない…。
 こういう時は頭の中で考えるよりも、形にする方が良い。一登はそう考えて机の引き出しからメモ帳とボールペンを取り出す。そして夢を最初から慎重に思い返していき、それを細かくメモしていく。
 夢の最初、既に俺は森の中に居た。辺りの様子は…、思い返した情景を言葉にして記す。1枚目はすぐにメモで埋め尽くされ、2枚目へ移行する。更に回想を進める。影が動くのを見た事、それを追った事、そして見たもの…。
 ふと手が止まる。何か見落としている気がした。一体何を…?一登はその付近の記憶を入念に再び思い返してみる。確かに何かある。その予感は思い返すほどに確信に近づいていく。が、どうしてもそれが何であるかが分からない。一登はとりあえずメモの端の方に“何か違和感”とだけ記しておく。
 そういえば…。何度か思い返しているうちに、新たに思い出した事があった。夢の最初の時、俺は漠然と感じていた。誰かを追っていた気がする、と。それは誰だったのだろうか…。俺が見た人影が、そうだったのだろうか。これも考えても分からない。
 それならば今は…。浮かびあがってきた疑問を新たなメモ用紙に書き並べていく。あの場所は何処なのか、俺は誰を追っていたのか、何故追っていたのか、…。
 やがて数多のメモ用紙が文字で黒く埋め尽くされた。ふと時計を見ると随分と短針が進んでいる。時間にして約7時間といったところか。これほど長時間、ずっと机に向かっている事など長いことしていなかった事に気付き、驚く。
 集中力が途切れたことで、今まで気付かなかった事に気づく。同じ姿勢を続けていたからか体の節々が痛いのだ。何しろ、久しぶりの事でもあるからな。少し体を動かした方が良いか。そう考え、気分転換も兼ねて外を散歩する事に決める。文字だらけのメモ帳を机の引出しにしまうと、部屋を出て居間に向かう。
 居間へ行くと、父は既に帰っていて母と楽しげに話していた。二人に外を散歩してくる事を伝えると、俺は外へ出る。陽はすでに落ちており、少し寒い。軽くジョギングしながら辺りを見回す。すると今まで周りをほとんど見ていなかった事に気づく。色々な発見があり新鮮だった。
 近くの公園まで行って折り返す。行きに見た風景が逆再生されているような視界のなか、思考は夢の方へと向かう。
 今日の時点では何も進んでいない。言うなれば、まだ何も見えない、手探りの状態だ。だが、必ず到達してみせる。この迷宮の出口に…。



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