康哉の方は何で香乃がそこまで驚いているのか分からず、こちらはこちらで戸惑っている。
「何で、って言われてもなぁ。むしろコッチが君に聞きたいぐらいだよ。何でそんなにも驚いているのかって。」
「だってアンタさっき、あのビルに入って…なのにここに居て…。どういう事?」
驚きの衝撃が残っているものの、何とかビルを指さしつつ言葉を口に出す。
「あぁ、成程ね。それは見間違えだよ、残念ながら。」
「えっ…?」
「そりゃ、そうさ。だって俺はそのビルには入っていないからね。」
「本当?でも確かに見たんだけどなぁ…。」
そう食い下がる香乃に追い打ちをかけるような事を康哉は言う。
「だって俺はお前をつけてここまで来たんだぜ?最近よく周りをウロチョロしているのに今日は居ないなぁ…と思ったら、何かを追うようにして歩いて行くから…。不思議に思って付いてきてみたんだ。」
その言葉に香乃は完全に肩を落とす。
「なぁんだぁ…。完全に私の一人芝居だったわけかぁ…。」
が、ふと閃き、康哉の肩をがっちり掴む。
「だけど!飛んで火に入る夏の虫!迂闊だったわね、康哉!」
「えっ?!あっ…!」
突然の事に驚く康哉だったが、掴まれた肩を見て香乃の意図に気が付く。
「さぁて…話をじっくり聞かせてもらおうかぁ〜♪」
「いや、ちょ…。」
「問答無用!」
抵抗する康哉の肩をグイグイ引っ張って何処かへと連行する香乃であった…。
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